切リ取リマスカ?
2対3。


表示されている文字に目を見開いた。


「まだ行ける! まだ行けるぞ!!」


大雅のお父さんが本気になって声を張り上げた。


あたしは時計を確認する。


44分。


アディショナルタイムは長くても2分か3分と言ったところだろう。


その間に得点を入れる事ができるの……?


不安が胸の奥からせりあがって来る。


もうダメかもしれない。


そんな気持ちが強くなっていくのを感じる。


「心ちゃんも、応援して」


大雅のお母さんに言われてハッと我に返った。


そうだ、あたしは大雅を信じている。


ここで信じて応援しなくてどうするの。


そう思った時だった。


「大雅君頑張れ!!」


一般席から大きな声が聞こえてきて、あたしの声はかき消されてしまった。


見るとそこには席を立って応援する楓先輩の姿があった。
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