切リ取リマスカ?
「今日もサッカーの練習見に行ったんだよ?」


『は? 俺サッカーは辞めるっていっただろ?』


呆れたような声が返ってきて、あたしの胸はズキンッと痛んだ。


「そうだけど……本当に辞めるなんて思ってなかった」


そう言うと、少しの沈黙が訪れた。


大雅は今どんな気持ちでいるんだろう。


『なぁ心、俺はどうしてサッカーをしてたんだろな?』


「え……?」


予想外の質問にあたしは目を丸くした。


前方から黒猫が歩いてくるのが見える。


その黒猫を追い越すように自転車が走って来る。


そのどれもがスローモーションに見えた。


『どうしてあんなにサッカーに熱中していたのか、よくわからないんだ』


大雅はため息交じりにそう言った。


「なんで、そんなこと言うの?」


黒猫があたしを通り過ぎていく。


それと同時に、あたしは自分の家も通り越して歩いていた。


今すぐ大雅に会いたい。


そんな気持ちでいっぱいになる。
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