切リ取リマスカ?
「2人が仲良く話してたところなんて、俺はみてないぞ?」


「あたし、愛って子のこと知らないもん」


真剣な表情でそう言う2人が嘘をついているようには思えなかった。


「なんで……」


呆然としていると、教室のドアが開いて愛が入って来るのが見えた。


「愛!」


「心、おはよう」


笑顔で手を上げる愛。


「ちょっと来て」


あたしは愛に駆け寄るとその手を握って強引に紀子と大雅の所まで連れて来た。


「何よ心」


愛は混乱した表情を浮かべている。


「この2人が誰だかわかるよね?」


「え? 大雅と……誰、この子?」


紀子を見て首を傾げる愛。


「嘘でしょ、紀子だよ、愛!」


「紀子ちゃんって言うの? えっと、初めまして、だよね?」


そう言い、おずおずと頭を下げる愛。


紀子もとまどいながら会釈している。


「ちょっと……なんの冗談よ?」


こうなったら3人があたしを騙して遊んでいるとしか思えない。


きっとそうだ。


登校してくる前に打ち合わせでもしていたんだろう。
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