切リ取リマスカ?
「元々サッカー部で人気が高かったでしょ? ファンの子も沢山いてさ」


「うん、そうだね?」


楓先輩ほど熱心なファンはいなかったけれど、試合になると大雅目当てで会場に来る子は多かった。


「サッカーを辞めてから、そういう子たちと遊んでるって聞いたんだけど」


「え?」


あたしは紀子の言葉に目を見開いた。


「そんなハズないよ。大雅はいつもクラスメートの男子と遊んでるんだから」


「そうだよね。そう思うんだけど……」


紀子は言いにくそうに言葉を濁して、俯いた。


その反応を見ると、噂には信憑性があるのだと思わざるを得なかった。


「誰からそんな話を聞いたの?」


「……大雅のファンの子から。放課後にいつも複数人で遊んでるって。大雅は気に入ったファンの子とキスとかもしてるのに、心は全然気が付いてないんだって」


言いながら、紀子の表情はどんどん険しくなっていく。


あたしのために怒ってくれているみたいだ。


だけど、あたしは紀子の話を聞いても全然現実味がないままだった。
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