切リ取リマスカ?
ショック
学校へ向かう途中、後ろから声をかけて振り返るとそこには大雅がいた。


「大雅!?」


昨日からずっと大雅の事を考えていたから、飛び上がってしまうくらいに驚いてしまった。


「なんだよ、そんなにビックリして」


「ご、ごめん、なんでもない」


あたしは左右に首を振ってそう言った。


大雅は不思議そうな表情を浮かべたまま、あたしの隣を歩き始めた。


「昨日テレビ見たかよ? あれ、マジウケるよなぁ」


大雅は昨日のお笑い番組を思い出して笑い出す。


いつもならあたしに会ってすぐサッカーの話を始めるのに、最近はそれもなくなってしまった。


「ねぇ大雅。本当にサッカーやめちゃったの?」


恐る恐るそう訊ねると、大雅は笑顔を消した。


「……なんで?」


「いや……中学時代から頑張ってたからもったいないなぁと思って」


あたしは早口でそう言った。


変に刺激しない方がいいのはわかっている。


「もったいないかぁ」


大雅はそう呟き、あたしを見た。


あまりにもジッと見つめられて、少しだけ顔が熱くなるのを感じた。


「そういえば、心とはキスまでしかしてないよな」


突然そう言われて、あたしは返答に困ってしまった。


大雅を正面から見る事もできない。
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