切リ取リマスカ?
「俺からしたら、そっちのがもったいないんだけど」


「な、なに言ってるの?」


あたしは少しだけ大雅から身を離した。


が、次の瞬間大雅に腕を掴まれていた。


「今日、学校サボろうか?」


「え……?」


あたしは目を見開いて大雅を見る。


大雅は真剣そのもののだ。


「サボるって……どうして?」


聞きながら、自分の心臓がドクドクと高鳴っていることに気が付いていた。


「俺の家、今日誰もいないんだ」


それが何を意味しているのか、あたしだってわかる。


「ヤダ。いきなりなに言ってるの?」


笑って流そうと思っても、無理だった。


大雅に掴まれた手は簡単には離せそうにない。


「いきなりじゃねぇよ。ずっと我慢してた」


大雅はそう言い、来た道を引き返し始めた。


流れとは逆方向へ進み始めるあたしたちを見て、不思議そうな顔をしている生徒たち。


「た、大雅……なにも今日じゃなくてもいいでしょ?」


慌ててそう言うが、大雅は歩くのをやめない。
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