切リ取リマスカ?
「大雅には連絡が取れない状態なんだよね?」


「そうなの……」


今でも電話をかけ続けているが、大雅が出る様子はない。


もしかしたら、こうなることを予測してあえて電話を無視しているのかもしれない。


あたしを差し出す事で8万円の借金が消えるなら、それでいいと思っているのかも。


あたしはグッと奥歯を噛みしめた。


悔しくて涙が滲んでくる。


「とにかく、ここにいても何も解決しないよ。大雅君の行きそうな場所を手分けして探そう?」


愛が心配そうな顔をしてそう言ってくれた。


「でも、2人とも授業が……」


「そんなの少しサボっても大丈夫だよ。ね、紀子?」


「もちろん。授業より大雅を探す方が先決」


「ありがとう、2人とも」


2人の優しさに触れて、少しだけ心が温かくなるのを感じたのだった。
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