切リ取リマスカ?
よくそんな呑気に聞く事ができたものだ。


怒りと悔しさで今にも爆発してしまいそうなのを、グッと押し込める。


「大雅、話があるの」


「なんだよ?」


「こんなうるさい所じゃ話ができないでしょ?」


「今いいところなんだよ」


大雅はそう言い、ゲームへと向き直る。


楓先輩は興味なさそうに他の台を見つめている。


「話を聞いてってば!」


あたしは無理やり大雅を振り向かせた。


タバコの煙がかかり、むせ返る。


「うるせぇ女だなぁ」


ブツブツと文句を言いながら、楓先輩に台を譲って立ち上がった。


たった一週間で人はこんなにも変わってしまうものなんだ。


今の大雅に魅力はひとつもない。


あたしは大雅をゲームセンターの外へと連れ出した。


これでまともに会話ができそうだ。
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