切リ取リマスカ?
切り取ります
外が明るくなり始めてきた時、あたしは自分の部屋にいた。


ベッドの上に座り、ぼんやりと外の景色を眺めていると鳥が鳴き始めたことに気が付いた。


あたしは結局、通帳を盗むことはできなかった。


両親が大切にためて来た貯金に手を出す事はできない。


8万円は用意できない……。


今日の何時頃かはわからないけれど、あいつら2人はあたしの家に来るだろう。


その時家にいなければいいと思ったが、家にいなくてもあいつらはきっとあたしを探す。


大雅も仲間から、あたしの居場所なんてきっと簡単に突き止めてしまうだろう。


「あたしが……切り取ったから?」


外の景色を見つめながら、そう呟いていた。


こうなってしまったのは、あたしが色々な物を切り取ってきたから?


最終的にこんなにも自分を追い詰める事になってしまった。


全部、自業自得なの?


枯れたと思っていた涙がまた流れ始めた。


大雅のサッカーを応援したかっただけ。


大雅が認められるように手助けしたかっただけ。


こんなハズじゃなかった。


こんな事、望んでいたわけじゃない。


でも、もうこれしか方法がなかった。
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