切リ取リマスカ?
そんな赤瀬君が、松若君の言葉に反応したのだ。


「お前、またサッカーするんだ?」


赤瀬君の言葉にクラス中が静かになった。


みんな車いすの松若君を見ている。


「あぁ。車いすでも、サッカーできるだろ?」


松若君はそう言い、白い歯をのぞかせて笑う。


そんな無謀な事できるワケがない。


きっと、みんなそう思っていたと思う。


元々サッカーが上手ならみんな応援したかもしれないが、松若君は下手だった。


車いすになってまでサッカーをするなんて、無謀以外の何物でもない。


「それ、いいな」


赤瀬君はそう言い、笑ったのだ。


最近はずっとムスッとした表情をしていた赤瀬君。


そんな彼の笑顔に自分の心臓がドクンッと高鳴るのを感じた。


「大雅もまた一緒にやろうぜ、サッカー」


松若君が赤瀬君を誘う。


無理にきまってる。


赤瀬君は試合に負けたことで挫折したんだから。


そう思っていたけれど……。


「おもしれぇじゃん」


赤瀬君はそう言って、笑ったのだ。
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