切リ取リマスカ?
毎日あたしの姿に気が付いてくれていたのだと思うと、嬉しくて舞い上がってしまいそうになる。


「今日、一緒に帰らないか?」


そう言われて、あたしは勢いよく顔を上げてマジマジと赤瀬君を見つめてしまった。


「なんだよ、そんなに見られたら照れるだろ」


「ご、ごめん……」


だけど、あたしにとって赤瀬君は空の上の人。


手の届かない、高値の花だ。


そんな人から誘いがあるなんて思ってもいなかった。


「き、今日の練習は?」


思い切ってそう聞いてみると、「今日は大丈夫。休みをもらったから」と、言った。


「え、でも……」


あたしはグラウンドへと視線を向けた。


楓先輩はまだサッカー部の練習を見ている。


「あぁ、先輩のこと? よく勘違いされてるんだけど、別に付き合ったりとかしてないから」


赤瀬君はそう言い、困ったように頭をかいたのだ。


「え……?」
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