切リ取リマスカ?
あたしは目を見開いて赤瀬君を見た。


付き合ってない……?


「今だってほら、先輩は琉斗の事ばっかり見てるだろ?」


赤瀬君はそう言い、先輩を指さした。


確かにその通りだけれど……。


「付き合ってないって、本当なの?」


「本当だって。先輩は琉斗が学校に戻ってきた時、俺にサッカーを続けていて欲しいって思ってたんだってさ」


「……だから赤瀬君がサッカーをやめてた期間もずっと一緒にいたの?」


「まぁ、そういう事。俺、ずっと説得されてたんだ。琉斗の為にもサッカーに復帰してって」


そう言い、赤瀬君は頭をかいた。


「そう……だったんだ……」


赤瀬君と楓先輩は付き合っていなかった。


その事実に体中の力が抜けそうになってしまう。


「だからさ、一緒に帰らないか?」


「う、うん……」


頷いた瞬間、心臓がドキンッと大きく跳ねる。


どうしてあたしを誘ったんだろう?


今度はそんな疑問が浮かんできた。
< 178 / 181 >

この作品をシェア

pagetop