切リ取リマスカ?
大雅と同じように声を大きくしてそう言うと、大雅は驚いたように目を見開いた。


驚かせてしまったかもしれないけれど、あたしの言いたいことをちゃんと理解してほしかったからだ。


「心、お前大丈夫か?」


「どういう意味?」


「俺は高校に入学してからあの2人が仲良くしてるところなんて見たことがない」


大雅は真剣な表情でそう言ったのだ。


「嘘だ……」


「こんなことろで嘘をつくわけがないだろ?」


そうかもしれない。


大雅やクラスメートたちが嘘をついているようにも見えなかった。


「ねぇ、大雅……」


あたしはスカートのポケットに入っているスマホを指先で確認した。


ツルリとした手触りがある。


「なんだよ?」


「もしさ、あたしが原因で2人の関係が変わっちゃったんだとしたらさぁ……」


「はぁ? もしかしてお前自分を責めてるのか?」


そう言われて、あたしは大雅を見た。


大雅は憐れむような表情であたしを見つめ返す。


「お前さぁ、ちょっと思い込みが激しいんじゃないか?」


「そんなこと……」


「ほら、前にもあっただろ? 自分の好きなヤツが自分の親友を好きだって勘違いして、1人で泣いてた」


大雅はそう言い、笑った。


思い出してみれば確かにそんな事があった。


だけどそれはあたしが小学校3年生くらいの時の話だ。
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