切リ取リマスカ?
雨脚
雲行きが怪しくなってきたのは後半戦が始まって20分ほど経過した時だった。


相変わらず佐原高校サッカー部がリードしている状態だが、雨が降り始めたのだ。


小さな雨粒は一気に大きく、そして激しく降り始める。


グラウンドは濡れて滑りやすくなっていく。


「大雅、大丈夫かな……」


屋根の下でぬれる心配のないあたしは、グラウンドを走る大雅を見つめる。


大雅は相変わらず走り続けていて、この雨も心地いいくらいなのかもしれない。


しかし、雨は確実に足元を悪くする。


相手からボールを奪おうとした仲間が派手に転び、芝生が水をまきあげる。


「中止にならないのか」


雨はどんどん強くなり、お父さんが心配そうに空を見上げた。


その時だった。


空が光、雷が鳴りはじめたのだ。


大きな音に観客席から悲鳴が上がる。


耐えられなくなって帰って行く人も出はめた。


これでは試合は続けられないだろう。


両方の高校の監督が話し合いをしているのが見える。


ここで試合が終わったら、次の試合はどうなるんだろう?


ここまでの経過で選手を決めることになるんだろうか?
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