切リ取リマスカ?
納得できない
この日の噂話は見る見るうちに広がって行き、結局サッカー部のメンバーにも知られることになってしまった。


大雅はいつものように笑顔を絶やさず「やっぱり琉斗はすげぇな!」と、拍手まで送っていた。


どうしてそんな風に笑えるの?


どうして琉斗を応援することができるの?


大雅の方が頑張っていたのに、それが認められないってどういう事?


昼休みになっても心の中のモヤモヤは晴れることがなく、自分でも知らないうちにきつい表情になっていたみたいだ。


「心、さっきから怖い顔してどうしたんだよ?」


大雅が心配してそう声をかけて来た。


「え、怖い顔してる?」


あたしは自分の頬に触れてそう聞いた。


「めっちゃ眉間にシワが寄ってたぞ」


大雅はそう言ってあたしの眉間を指先でふれた。


その感覚がくすぐったくて、あたしはようやくほほ笑んだ。


「ねぇ大雅、サッカー部の噂って本当なの?」


「ん? あぁ。実は俺も気になってさっき監督に聞いてみたんだ」


「どうだったの?」


何かの間違いだった?


噂が独り歩きしただけだった?


マネージャーの勘違いだった?
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