切リ取リマスカ?
お父さんの言葉にあたしは目を輝かせた。


琉斗の変わりは大雅しかいない。


みんなそう感じていると確信していた!


しかも琉斗本人からの申し出なら、周囲だって反対できるはずがない!


「俺が琉斗の代わりですか……?」


「あぁ。やってくれないか?」


お父さんの表情は真剣そのものだ。


お母さんも反対はないようで、大雅の返事を待っている。


「俺は……」


大雅は空のベッドを見つめる。


「俺は、琉斗の代わりなんかにはなれません」


「……え?」


その言葉にあたしは思わずそう呟いていた。


何を言っているの?


これは大雅にとって最高のチャンスだ。


これを逃すなんて絶対にあり得ない。


「琉斗は本当にすごい選手です。俺なんて足元にも及ばない」


そう言い、苦笑する大雅。


「そうか……」


お父さんはそう言い、残念そうにうつむいた。


待って、なにこれ。


こんなの全然違うでしょ!?


そう言いたいのに、なにも言えない。
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