切リ取リマスカ?
☆☆☆

それからあたしたちは一旦学校へ戻り、大雅は言っていた通り部活に参加していた。


本当は今琉斗の事が気になって仕方がないはずなのに、一生懸命汗を流している姿に胸がキュッと痛くなる。


こんなに頑張ってるんだもん、きっと大雅の夢は叶うよ。


「大雅、戻って来たんだね」


後ろからそう声をかけられて振り返ると、鞄を持った愛と紀子が立っていた。


「うん。病院でね、琉斗の両親から言われたの。大雅が次の試合に出てくれって」


「そっか、だからあんなに頑張ってるんだね」


紀子が小さな声でそう呟く。


「心も練習を見てから帰るんでしょ?」



愛に言われてあたしは頷いた。


「うん。大雅と一緒に帰るつもり」


「そっか。じゃぁあたしたちは先に帰るけど、大雅君に応援してるからって伝えてね」


愛がそう言い、紀子と一緒に歩いて行く。


「わかった。2人とも気にしてくれてありがとう」


あたしはそう言い、手を振って2人を見送ったのだった。
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