切リ取リマスカ?
☆☆☆

2人で歩いていると、あちこちで夕飯の匂いがしてきて思わずお腹がなった。


あたしは照れ笑いをして舌を出す。


「ごめんな、こんなに遅くまで突き合わせて」


そう言う大雅は少し汗の匂いがする。


スポーツをした後の、爽やかな汗の香りは嫌いじゃない。


「ううん。あたしが勝手に待ってただけだから」


「でも、今度からは暗くなる前には帰れよ?」


そう言われて、あたしはふくれっ面をしてしまった。


今までだって黙って遅くまで待っていたのに、どうして今更注意されるんだろうという気持ちになる。


そんなあたしを見て大雅は小さくため息を吐き出した。


「わかった。待ってていい。そのかわり必ず俺と一緒に帰ること。お前、今まで俺が着替えるの待たずに1人で帰ってただろ」
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