切リ取リマスカ?
楓先輩は腰まで届きそうな綺麗なストレートの黒髪に、大きな瞳。


透き通るような透明感のある肌で美少女として有名だった。


一方、サッカー部の琉斗のファンということでも有名人だ。


2人がいつか付き合い始めるんじゃないかという噂は、何度も耳にしたことがあった。


「大雅、あれ楓先輩だよ」


前を歩いて行く楓先輩に気が付いていない大雅に、あたしはそう言った。


「あぁ、本当だな。琉斗に会いに来たのか」


大雅はようやくまともな返事をしてくれた。


「病室で鉢合わせするかもしれないな」


そう呟き、歩調を緩める。


さすがにこんな時に大勢で押しかけてしまう事が嫌みたいだ。


特に、大雅は琉斗と2人きりで話したいこともあるだろう。


あたしはスマホで時間を確認した。


楓先輩が出て来るのを待つつもりだろうか?


午前中に学校へ戻れればいいけれど、その可能性は低くなってしまった。
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