切リ取リマスカ?
☆☆☆

愛の家は小さな一件家だった。


おとぎ話にでも出てきそうなレンガ作りの可愛い家。


こげ茶色の玄関を開けると、カフェに取り付けてあるような鈴が鳴った。


「おしゃれだねぇ」


紀子が家の中を見回してそう呟いた。


あたしは何度も来たことがあるから驚かないけれど、驚いているフリをしておいた。


「あたしの部屋はこっち」


そう言って2階の一番奥の部屋に通された。


6畳ほどの部屋には白を基調とした家具が置かれていて、清潔感がある。


「相変わらず綺麗にしてるね」


思わずそう言ってしまい、愛が首をかしげてあたしを見た。


「なんで愛の部屋が綺麗だって知ってるの?」


紀子も不思議そうな表情を浮かべている。


「あ、愛は綺麗好きそうなイメージだったからだよ」


慌てて苦しい言い訳をする。


2人はまだ疑っていたようだけれど、愛のお母さんが紅茶を出してくれたことで話題は切り替わった。
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