切リ取リマスカ?
☆☆☆

大雅の家にお邪魔するのは久しぶりなことだった。


長方形のコンクリートがそのまま家になったような形をしてる。


見た目はとてもシンプルだけど、玄関には和風な小物が沢山置かれていて、入った瞬間からギャップを感じられる。


「入って」


大雅に促されてあたしは「お邪魔します」と、一言言って家に入った。


和風な置物は全部お母さんの趣味のようで、家のあちこちに可愛らしい日本人形が置かれている。


大雅の部屋は2階の一番手前の部屋で、中はグレーで統一されている。


「今日、泊まれる?」


そう聞かれて一瞬返事に詰まってしまった。


もちろん泊まれるからここまでついて来たのだけれど、いざ聞かれると緊張で言葉が出て来なくなってしまう。


「い、一応は……」


「そっか。じゃぁ、隣にいて」


大雅はそう言いあたしの手を握りしめる。


いつも感じている温もりなのに、この状況だと意識してしまってドキドキしてくる。


大雅は相変わらず欠伸を繰り返していてあたしは小さく笑った。


「寝てもいいよ?」


「は? お前来たばっかじゃん」


「そうだけど、眠れる時に寝た方がいいって」


あたしはそう言い、大雅をベッドへと引っ張った。
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