悪役ヒロインは恋してる
私たちの通う学校では、五月に入ると学力試験が行われる。
入学試験の範囲をかなり難しくしたもので、目的は生徒のやる気を煽るためだとも、高校という現実を見せるためだともいうが、真偽は不明。
重要なのは、これが3年間の成績に反映され、大学受験の際の推薦に影響するということ。
そして、点数が悪いものは補修と再試験が放課後に行われるということ。
放課後。
つまり、部活に出られなくなるということだ。
「伶音くんに限って、勉強を怠ったからと言って再試験になるような点を取るはずないわよ」
肩を叩いて励ましの言葉をかける。
だが、伶音くんは深く項垂れたままだ。
「ダメだよ……大学生ですらしっかり勉強しないと赤点とるほどの内容らしいし……」
彼の落ち込みっぷりは見ていて胸が痛くなるほどだった。
私は少し逡巡した後、ある提案をしてみた。
「あの、伶音くん、もし良かったら私と一緒に勉強しない?」
顔を上げた伶音くんと至近距離で目が合う。
とくん、と胸が音を立てた。
「私、一通り勉強したし、先輩から過去問やヤマ予想も頂いているし……効率よく勉強できると思うの。だから、迷惑でなかったらーーーー」
「宜しくお願いします!!!」
私の言葉を遮るように、伶音くんが声を上げた。
こうして私は、学年首位入学の伶音くんに、勉強を教えることになったのだった。
入学試験の範囲をかなり難しくしたもので、目的は生徒のやる気を煽るためだとも、高校という現実を見せるためだともいうが、真偽は不明。
重要なのは、これが3年間の成績に反映され、大学受験の際の推薦に影響するということ。
そして、点数が悪いものは補修と再試験が放課後に行われるということ。
放課後。
つまり、部活に出られなくなるということだ。
「伶音くんに限って、勉強を怠ったからと言って再試験になるような点を取るはずないわよ」
肩を叩いて励ましの言葉をかける。
だが、伶音くんは深く項垂れたままだ。
「ダメだよ……大学生ですらしっかり勉強しないと赤点とるほどの内容らしいし……」
彼の落ち込みっぷりは見ていて胸が痛くなるほどだった。
私は少し逡巡した後、ある提案をしてみた。
「あの、伶音くん、もし良かったら私と一緒に勉強しない?」
顔を上げた伶音くんと至近距離で目が合う。
とくん、と胸が音を立てた。
「私、一通り勉強したし、先輩から過去問やヤマ予想も頂いているし……効率よく勉強できると思うの。だから、迷惑でなかったらーーーー」
「宜しくお願いします!!!」
私の言葉を遮るように、伶音くんが声を上げた。
こうして私は、学年首位入学の伶音くんに、勉強を教えることになったのだった。