初恋
翌日になっても宇津木は叔父が出した条件の事を何も言わない。


優しい宇津木さん・・・。


これ以上、迷惑はかけられない。




葵の部屋をノックすると小さな返事が聞こえた。


「どうぞ」


榊は中へ入ると、葵はドアの近くまで来ていた。


「榊先生・・・」


「体調はどうだい?」


紫月が亡くなったと知ってからの葵の様子・・・今日は違っているように見える。


うつろだった瞳は今はしっかりと自分を見ていた。



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