初恋
「傷は酷いのか?」


「そんな事ないから心配しないで」


葵が立ち上がりかぶりを振る。


「紫月様、とにかくご無事で何よりでした」


宇津木が紫月の身体を支えて立たせた。


「おみ足はいかがなされたのですか?」


「落ちた時に・・・まだ痛みで少し引きずってしまうんだ」


「とにかくリビングでお話を」


宇津木が言うと皆がリビングへ移動する。


葵だけは茫然と紫月の後姿を見ている。


「葵様?」


貴子に名前を呼ばれて葵は目をぱちくりさせた。


「皆様、リビングへ行かれましたわ」


リビングから紫月の葵を呼ぶ声がした。


「葵?」


「ぃ、今行きます」


葵は小走りにリビングへ行った。



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