初恋
「ブラジル出張に叔父の部下もいたんだ 彼は最初から様子がおかしかった ボディーガードに行動をチェックさせていたがまさか小型飛行機のドアのロックを解除するとは思わなかった」


「飛んでいる飛行機のドアを開けたの?」


葵は想像して小さな悲鳴をあげた。


紫月は一度ゆっくり目を閉じてから開けた。


「機内の物は散乱し小型飛行機は力を失い密林へ不時着したんだ 高度が低かった為と落ちた所が木に覆われていたせいでなんとか全員無事だった」


シーンと静まり返った中、紫月が淡々と話す。


まるで感情を失った話し方だ。


あの時の恐怖を思い出すのは苦痛を伴った。


「その足の傷は?」


榊が聞く。


「無事とはいえ、俺は不時着した時に機体の一部がめくれて足を傷つけたんだ」


「ドアを開けた男は?」


「特殊訓練を受けていたらしく開けたドアから宙へ飛んだよ だがその男は不運だった。不時着した近くの木にパラシュートが引っかかりボディーガードに捕まえられたんだ かんねんしたのか彼は叔父の悪巧みを洗いざらい白状した 俺を殺す事が目的だと」



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