初恋
「だからと言って、なぜ生きている事を知らせなかった!?葵ちゃんはあの悪党に酷い目にあったんだぞ!」


「榊先生っ!」


「なかなか叔父は尻尾を出さなかったからね 俺が死んだと知りだんだんと隠していた事が明るみに出てきた 敵を欺くにはまず味方からってね 昔から使われていた方法だが・・・ 葵には申し訳なかった」


すぐに小型飛行機は捜索隊に見つけられたが日本へは生きている事を知らせないで欲しいとブラジル政府に頼んだのだ。


叔父を捕まえる為に。


紫月が葵の手に手を重ねた。


その手を見て葵は泣きたくなった。


紫月の手には細かい擦り傷や治りかけの傷がたくさんついていたのだ。


「紫月・・・あたしは紫月が生きていてくれた事だけで嬉しい 話してくれなかった事、恨んでいないよ?」


紫月の首に両腕を回し抱きついた。




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