ここで彼女は夢を見る
 とりあえず予定通り事務所に寄って、何かレッスンやオーディションが受けられないか聞いてみよう。どんな小さな仕事でも時間がある限りやってみよう。美和子の転職を望んでいた恋人が何と言うか、なんて今は考えられなかった。
 伸ばした執行猶予はあと少し。ここで本物の花嫁になる日は遅くなってしまうかもしれないし、それどころか恋人に愛想を尽かされるかもしれないけれど。やるべき事はきっと山程ある。

 ロビーに立って階段を見上げる。
 いつだってここが始まりの場所。本物の結婚式ではなくとも、今日のこのホテルでの模擬挙式が美和子に取っての新しい門出になる。
 祐介と共演する再会を目指して、美和子はここから続くランウェイをまた一歩ずつ進んで行く。幼い日の憧れと今日の喜び。そして交わした約束を胸に抱きながら。


fin.
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