王子様だってお姫様になりたい

さよなら王子様


それからあっとゆーまに時がたち

私たちは小学6年生の冬をむかえていた

この日はクリスマスイブ。

クラブの練習もいつもより早く終わった

外を見るともう暗くて、帰ろうとしていた

「咲ー!!」

誰かが呼ぶ声がして振り向くと大貴がいた

「どーしたの?いきなり叫んで」

「一緒に帰ろうぜ!」

「うん、いーよ」


二人での帰り道。もう暗くなっていて寒い。冷たいかぜが頬を痛くする。

しばらく沈黙が走ると大貴が口を開き、

「俺なぁ…中学校はバレーの強いとこに行くことにしたんだ」

とあの日に見せた優しい笑顔で笑いながら言った。

だけどその瞳は試合をしてるときにスパイクを打つ、あの真剣な目をしていた。

「もっと強くなってでっかい大会行って、そんでバレーボールの日本選手になる。これが俺の夢!」

大貴の夢なんて初めて聞いた。大貴の目は本気だった。

「お前はこれからどうすんの?あと少しで卒業じゃん」

「私は……」

正直、私はでっかい夢も持ってないし特別な目標もない。

でもただひとつ言うなら…

「私は…中学校でバレー部に入って…もっとバレー上手くなりたい」

バレーが上手くなりたいそれが私の今一番の夢だ。

大貴は私の話を聞くと頑張れよと笑顔で言ってくれた

その優しい笑顔にドキドキしてしまった

二人でこれからの夢について語っていると家が近づいてきた

この先の道で私は右に、大貴は左へ行く。

長かったはずの帰り道がとても短く感じた。

別れ道にきた。

バイバイと言って右に行こうとした私。
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