スイートルームで、一晩中
そう、これまで私が付き合ってきた相手は、大体皆定職についていなかったり、お金がなかったり、女好きだったり……と、いわゆるダメな男ばかり。
けれど、好きになるとダメなところも支えてあげたくなってしまうというか。私が支えてあげなくちゃと思ってしまうというか。
そしてその結果、男はよそに本命を作り私は都合のいい女として遊ばれたり利用されたり、最終的には捨てられるのがいつものオチだ。
今回の彼は1年付き合ったし、私ももう28歳でそこそこいい歳だし……と結婚も考えていたのに。
二股って!しかも私が浮気相手って!しかもクリスマス直前に別れ話って!
悲しすぎる展開に、私は深いため息とともにがっくりと肩を落とす。
「彼女もいない三宅さんには、人を愛する気持ちがわからないんですよ……」
「なに言ってんだよ。愛する後輩のためにわざわざクリスマスに付き合ってやるなんて、こんなに愛に溢れた先輩なかなかいないぞ?」
「はいはい、そうですね」
自信満々に言い切る彼に、今度は私が呆れた顔で返す。
「なんなら、この後も付き添ってやろうか?スイートルーム、ひとりで泊まるつもりなんだろ?」
「結構です。ひとりで悠々自適に泊まりますから!」
「強がるなって。一晩中かわいがってやるぞ」
なんの自信なのか、ふふんと誇らしげに笑う。
するとちょうど運ばれてきた新しいワインに、私は言葉を飲み込むようにそれをひと口飲んだ。