スイートルームで、一晩中



またそうやってからかって……。

『一晩中かわいがってやる』なんて軽々しく言うんだから。ちょっと顔がいいからって、絶対調子に乗ってる。



三宅さんは、モテる。

見た目や仕事ぶりはもちろん、こうして優しいところが一番の理由だと思う。

なんだかんだ言いながら、せっかくのクリスマスだというのに今だってこうして私に付き合ってくれているくらいだし。



黙っていても女性が寄ってくるだろう彼と、プライベートでふたりで食事なんて、本来なら私には縁遠い光景だなんてことはわかっている。

けれど、そんな彼の優しさが少しだけ嬉しいことも事実で。甘えてしまった、自分がいる。



「あんまり飲み過ぎるなよ」

「大丈夫ですってば」



口を尖らせかわいげなく答えると、グラスの中のワインをぐいっと飲み込んだ。






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