スイートルームで、一晩中





「も~のめない~~……」



それから2時間ほどが経っただろうか。



あれほど注意されたにもかかわらず、お酒をハイペースで飲み続けた私。

当然食事を終える頃には気分はふわふわとしてしまっていて、完全に酔っ払いと化していた。



「だから飲みすぎだって。ったく、部屋まで送る」

「大丈夫ですってば~……」



呆れたように言いながら席を立つ彼に、私も続いて席を立つ。

けれど不安定な足もとからは力が抜けてしまって、よろけてころびそうになってしまう。



「っ……と、あぶねーな」



そんな私の体を三宅さんはしっかりと抱きとめた。

そしてそのまま、なにも言わず、私の肩を抱いて歩き出す。



きっと『部屋まで送る』と言ったら私が断るからだと思う。

断らせないよう、拒ませないように、無言のままレストランを後にした。



……こうして触れると、彼も男性なんだと感じる。

いつもはそんな意識しないのに、酔っているせいか、こんなにしっかりと触れるのは初めてなせいか。

ドキ、と胸が小さな音を立てた。








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