スイートルームで、一晩中
「大丈夫、って言い聞かせないと、つらくて苦しくて、ダメになる……」
誰にも言ったことのない、言うつもりもなかった本音。
けれど、それを見透かすように言い当てられて言葉をこぼすと、同時に涙がこぼれた。
その瞬間、三宅さんは伸ばした腕で私の体をぎゅっと抱きしめた。
「三宅、さん……?」
突然の腕に、戸惑ってしまう。
けれどそれ以上の言葉がなくとも無言で包んでくれる、その体温に優しさを感じた。
力強い腕と嗅ぎ慣れない彼の香りが、安心する。
本当は、大丈夫なんかじゃない。
悲しいよ。つらいよ、苦しいよ。
だって、好きだった。愛してた。
だから尽くして、彼のためならなんでもした。
なのに、そこは私の居場所じゃなかったんだ。
私を見てくれる人なんていないって、そう実感した途端、周りの人が眩しく見えた。
泣き出したら、立ち直れなくなってしまう気がした。
だけど今この瞬間、その腕は私にも眩しさを与えてくれる。
ここでなら泣いてもいいんだって、そう言ってくれている気がした。
胸に溢れる愛しさを表すかのように、瞳からは涙がいっそう溢れ出す。
彼はそんな私を涙ごと包んでくれた。