その恋、逃亡中。

「早く来てよ、手当てをしてあげるから」

しかし、手を洗い終わって戻ってきた信二を見て、くるみは再び驚いた。彼の手には全然血がついていなかったのだ。

「あれ、じゃあ、この血は?」とくるみは聞いた。彼女の心を、ひとつの回答がかすめる。しかし、彼女はしいてその回答を追い払おうとした。《でも、まさか…》信二の顔を直視できなかった。


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