その恋、逃亡中。
新聞数枚、デパートの包装紙、紐などを出すと、信二は、ワイシャツとブラウスを、小さく丸め、新聞で包み始めた。器用な手つきである。つぎに、包装紙を裏返して、その上から包み、
「それ、いったい……」
「うん、小包にして郵送するんだ」
彼は得意そうに笑った。この部屋に入って来て、初めての笑顔であった。
「どこへ?」
「いいじゃないかそんなこと。知らないでいるにこしたことはないよ。なまじ、知っていると、後で、くるみに迷惑がかかるかもしれないから……」
「迷惑が?」