その恋、逃亡中。
4.
信二はそのまま、くるみのアパートに泊まった。そして、その夜、彼が同じベッドの中で示した情熱は、かつて、見せたこともないほどのものであった。
《いったい、どうしたのだろう?》と、くるみは信二の愛撫の合間に何回か思った。彼は、くるみと別れる決心をしていると公言していた。つまり、すでに、彼女には魅力を感じていないはずだった。それにもかかわらず、これほどの情熱を示すとは、どうしたことなのか?それが不思議でもあり、不安でもあった。何か、理由がありそうに思ったのだ。その不安が、彼女の燃えるのを妨げた。………