その恋、逃亡中。

そして、あの翌朝、熱心に新聞を読んでいたのは、自分の犯した傷害事件が、記事になってないかと、考えたからではなかったか?不精な彼が、アパートの他の住人たちの眼も恐れず、わざわざ郵便受けに新聞を取りに行った意味も、いまになってみると、はっきりわかった。彼は一刻も早く朝刊を読みたかったのだ―――。

偽アリバイを、くるみに依頼したのも、この推理の裏付けになる。

信二が傷害事件を犯したことは、もう疑いようがない。彼女は、そんな確信を持った。

《そして……》くるみは、さらに、推理を進展させた。《いま、彼はどこかに姿をくらましているのだろう……》


< 43 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop