棺の中の冬
私はどこに向かっているの?そんな問いの答えなどない。
ただ行く場所もなく歩き続けている。
顔をあげて、空を見てもそこにあるのは黒い空だけで、青い空もなければ、夜空に輝く星もない。
この黒い空には太陽は昇らない。
この世界はもう、ずっと前に『時』というもの忘れてしまっている。
その世界を私はひとり、歩いて行く。
もうどれだけ歩いたのだろう?
疲れなどないが、視界がぼやけて、世界が滲む。滲んだ世界に移るものは『白』だけで、他は何もない。
歩く足が止まれば、私は白い雪に体が埋もれ、私も世界から忘れられていく。
体に触れる雪の感触が冷たい。
倒れた私の体はまだ前に進もうと前を向く。
もう、探すのは止めようかな?
体に反して心がそう呟く。
前を向いても、もう進む気力はない。
もう少し進んでいれば……
そんな気持ちが頭の片隅をよぎる。