棺の中の冬
もう進めない体で、前を見る。
私の眼に映る何かと、世界が揺れて滲んでいく。
この『白』でない『モノ』は何?
私はそれが何か分からぬまま、瞼を閉じた。
久しぶりに見た、『白』以外の『モノ』。
あれは何だったのだろう?
もしかしたら、あれが私の探していたもの…?
もう確かめるすべもなく、私は考えるのをやめた。
結局、見つけられなかった……
私が探していた大切な『モノ』……
ここは真っ暗な世界-いつでも暗くて、いつまででも暗い。
ずっと昔に『時』というものを忘れたこの世界は、ずっと昔から変わらぬまま……