黒猫系男子にご注意です
名前だけは知っていたが、顔を見たのは初めてだ。
女子に持てそうな容姿にニコニコとした笑顔。
「こんなところでどうしたの?」
さっき帰ったんじゃ、なかったっけ?
続く蘭音の言葉に、犬飼はあー、と曖昧に答える。
「部活やってる友達待ってて、自習室にいたんだけど、もう帰ろうと思って。
そしたら、蘭ちゃんの声が聞こえた気がして」
自習室、ねぇ?
確かに俺たちがいた図書室の隣は自習室だ。
けど、今こいつ…
「もしかしたら、蘭ちゃんに会えるかなーって思って」
「え?わたしに?」
蘭音はきょとんとした顔を浮かべる。