黒猫系男子にご注意です
「犬飼くん」
食堂にでもお昼を食べに行っていたのか、空っぽだった隣の席にはいつのまにか犬飼くんがいた。
「蘭音が猫王子と行ったデートでお土産に買ってきてくれたの」
と、咲華は嬉しそうにそれを見せる。
「へえ、そうなんだ」
まじまじとしおりを見てつぶやく犬飼くん。
「蘭ちゃんが買ってきてくれたんだし、大切にしないとだね?」
「うん、もちろん!」
そんな会話をするふたり。
「てか、犬飼くんさ、蘭音としゃべってていいの?」
周りを見てニヤニヤしながら、聞く咲華。
わたしもつられて教室を見回すと、みんなわたしたちの方を見ていた。
あ、あの朝のうわさか…
抹殺なんて、冗談に決まってるのに…
また目立ちたくないのに、目立ってしまった…
思わずため息をつくと、犬飼くんは言った。