黒猫系男子にご注意です
「なに。なんだよ?
なんか言えよ?」
犬飼が俺を見てクスクス笑った瞬間。
座り込んだままの犬飼を無理やり立たせ、ガンッと壁に押し付けた。
許せなかった。
こんな自分勝手なやつのせいで、蘭音が散々苦しんだこと。
気持ちを押し殺してまで、俺から離れようとするまでに蘭音を追い詰めたこと。
全部が、許せなかった。
だから、俺は敢えて怒りを表に出さず、無表情で言い放つ。
「お前、可哀想なやつだな」