架空ナル世界デ死ノゲーム
声が楽しそうにはずんでいるのは気のせいじゃないと思う。
和やかなムードになったと思うけれど、次の瞬間、誰かがクラハシさんの胸元を掴み上げた。
ほんわかしたムードは、一気に壊される。
「…あのさ、のんきに握手なんて交わしてないで、さっさとあたしたち解放してくんない?誘拐の真似事なんて、付き合ってらんないから。それとも、何か要件あんの?」
クラハシさんを睨んだ少女は、確か…忍代冬李(オシシロ トウリ)と名乗ったはずだ。ものすごく不機嫌そうだったけど。
拳銃を持っていて、17歳だ。
クラハシさんはパッと冬李さんの手をほどいて、乱れた襟元を直した。
「さっき私はゲームマスターと名乗ったはずです。誘拐…をしたのも私です。あなた達には、してほしいことがありますから、解放はできません」
「してほしいこと?」
尋ねると、「左様で」と返された。
いやな予感がした。いや、きっとそれはみんな感じているであろう。ただ、してほしいことの為に誘拐までやってのけるなんて、普通じゃないことなんてみんなわかっているから。
だから…嫌な予感なんて、ほら、当たるもんなんだ。
「あなたたちには、ゲームをしてもらいます」