架空ナル世界デ死ノゲーム
ピーンポーンパーンポーン
在り来たりとも呼べる音が鳴る。
本当なんで、どこの学校でも、ビルでも、こう似たり寄ったりな音なのだろう。
『これから、釜中の魚(フチュウノウオ)ゲームを始めまーす』
声からして、きっとクラハシさんなのだろう。少し弾んだ声。
その声に対して、ほとんどの人が眉をひそめた。
『ルール説明…の前に、暮ヶ丘結記様、本当に凶器無しでよろしいのでしょうか?』
………。
……今までの僕たちの行動を全部聞いていたのだろうか。
でも僕はもう決まっていたので、ニコリと監視カメラに向かって笑いかけた。
「はい。後悔してませんし、これからもきっと後悔しないと思いますよ。人をきづつける武器なんて、僕には必要ないですから」
『……そうですか』
少し残念そうな声。
彩音さんはいぶかしげな眼で見ていたけれど、駄目押しのため息をついてそっぽを向く。きっと呆れているのだろう。多分。
そこで大地君が苛立たしげに貧乏ゆすりをしながら舌打ちをした。
冬李さんが何か言いたげに突っかかろうとしているのを星君が止めた。不穏な雰囲気が、一気に駆け巡る。
その様子を見ているクラハシさんが、話を進めた。
『釜中の魚というのは、死や危険が迫っているという意味で使われます。十文字彩音様、由来はなんでしょう?』
ここでいきなり話を彩音さんに話を振ったが、彩音さんは全く動じることもなく淡々と説明をした。
すごいなぁ、とちょっと感心する。
「煮たてられようとする釜の中で泳いでる魚が由来」
『さすがでございますね。…さて、ルールを説明致します。3時間、火だるまの女…カヤコさんから逃げてください。建物の外には出てはいけませんが、建物の中の部屋ならどこに入っても大丈夫です』