架空ナル世界デ死ノゲーム
「彩音さん!」
日本刀を構えて、髪を乱した姿で立っていた。冷たい瞳の中には、焦りの感情がほんの少しだけ垣間見える。
彩音さんは素早く右足で踏み切って、カヤコさんの右端をスレスレに横切った。
刹那、日本刀の刃がカヤコさんの首を狙う。
だけど。
「…!?……やっぱり、死なないか…」
スッパリと胴体と首が切れたというのに、カヤコさんはニタニタと笑いながら真っ赤に染まった目でこちらを見据えている。
ゆらゆらと、カゲロウが揺れるように、おぼつかない足取りでこっちに迫ってくる。
それに気付いたリンヤ君と彩音さんが僕と鞠さんの手を引っ張る。
「ソイツといくらタイマン勝負しても体力削られるだけだ!さっさと逃げるぞ!!」
リンヤ君が叫んで、ドアを開け放つ。
滑り込むように鞠さん、彩音さん、僕の順番で部屋を出ると、思いっきり扉を閉めた。