架空ナル世界デ死ノゲーム

 ハッと、鞠と結記が私を見る。


 その顔は、悲しそうな、何となく納得したような、そんな何とも言えないような顔だった。



 私は割れた刀をギュッと握りしめた。


 必ず助ける、なんて言えない。


 私は別に、死にたいわけじゃない。誰かを助けて犬死なんてしたくない。



 それでも、誰かを傷つけたくないからっていう理由で、武器を棄てられた勇気を目の当たりにしたから。



 もう一度目を伏せてる結記と鞠を見た。



「…それでも、協力はしたいと思ってる。必ずなんて言えないけれど、できることなら手伝うわ」



 握りしめた手が濡れている。


< 54 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop