架空ナル世界デ死ノゲーム
だけどいざ、言おうとしたら、どうもつっかっかって、上手く言葉が出てきてくれない。
切なさがにじみ出てくる。
きっとそれは、ついさっき幸せそうな家族の写真を見てしまったからか。
目の前の西日は、少し困ったような、戸惑ったような顔をしている。
「…死んだら、ただそれだけで終わり。誰にも悲しまれないし、数日後には何にも変わらない日常が待ってる。あたしは…それを知ってるから、必死に生きようとも思わない」
いつの間にか、あたしと西日の歩調は止まっていた。
何も言えない。
何も紡げない。
でもそれで良かったのかもしれない。
何もわからないまま、曖昧にしか理解できないのならば、慰めなんてしてほしくなかったから。
長い髪をはらって、再び歩き始める。
数秒後、あわてたように追ってくる足音が聞こえた。