浅葱色の妖
獣のいない街
「やーっ!」
「とーっ!」
何か叫び声のようなものが聞こえる。
それに混じって、笑い声と朝を告げるような鳥の声。
朝?
旭に起こされなくても私、1人で起きれたんだ。
眠気に勝とうとゆっくりとまぶたをあげると、見覚えのない天井が視界に広がった。
一瞬いつもと違う状況に固まったけれど、昨日自分は新選組に入れてほしいと頼んで入れてもらったのを思い出した。
旭に起こされない訳だ。
体を起こすと、ぱさりと体にかかっていた紺色の着物が落ちた。
気付かないうちに昨日着ていた着物をかけていたみたいだ。
昨日来ていたものをかけて寝ていたのは汚いと思うけれど暖かかったからまあいい。