浅葱色の妖

九十度を超えるくらいのおじぎをして顔を下げていると、フフッと笑い声がした。




驚いて顔をあげると、お春さんは口に手を当てて笑っていた。





「え?お春さん、どうして笑って…」






「あんたホンマ面白い子やな思って。見てて飽きないわぁ」







「じゃ、じゃあ怒ってないんですか…?」






「なんで私が怒るねん。寝坊なんて誰でもすることやん。私も寝坊して隊士みんなに怒られたで」







昔話を思い出したように、お春さんは、はっはっはと豪快に笑った。






それじゃあ、お春さんは私を怒っていないってこと?







初っ端から寝坊したのに!






お春さん、なんていい人なんだろう。






一緒に仕事する人がお春さんで本当に良かった。





それにしても、私はどうしてこんなに朝起きられないんだろう。





うーん…。
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