ハート泥棒
はじめての行為の…その後。
『…あたし、帰るね』
『…あ、うん』
乱れた制服を急いで直す樹理を直視できない自分がいた。
2人の間に残ったモノは、気まずさだけだった。
お互い相手のことが大好きだったのに、この時…足りなかった何か。
それから、俺たちはよそよそしくなって…次第にお互いのことを避けるようになってしまった。
そして、刻々と近づいていく…卒業式の日。
最後にもう1度だけ、樹里と話がしたくて呼び出したけど…アイツは約束の場所に来なかった。
それが樹理の答えで…俺たちは完全に終わったんだとようやく理解した。