ハート泥棒
樹里:side
「あたし、絶対に行かないから!」
「そんなの困るよ~」
はぁ……。
困ってるのはこっちじゃない!
大学で1番楽しみにしている…有名なホテルと同じバイキングが食べられるランチタイム。
だけど、今日は全然楽しくない。
白いプレートに山ほど盛った大好物をなかなか口に運ぶことができないし、お楽しみの甘いデザートも今日はナシになりそうな予感で。
リカとあたし…どっちも後には引かない。
「潤(じゅん)に樹里を連れていくって、もう言っちゃったんだもんっ!」
付き合ってもすぐに別れてしまうあたしに、ちゃんとした彼氏を作らせたいと思ってる親友のリカ。
心配してくれてるのは嬉しいけど…あたしの知らないところで、自分の彼氏に頼んで勝手に会う約束するなんてそんなのアリ?